後頭部の高い位置で髪を結った少年が、ふと歩きを止めて後ろを振り返った。
「桂桂どうしたの?」
それに不思議そうに問いかけたのは、少年よりも年長の少女。
名を蘭玉と言い、少年と同じように籠を担いでいた。
「王宮ってあっちのほうだよね」
ぼんやりを遠方を見つめ少年、蘭桂(桂桂)は言った。
「そうよ」
「都ではみんな王様をお祝いしてるんだろうねぇ」
「どんな王様なのかしらね」
蘭玉と桂桂は並んで立ち、共に遠方を見つめた。
まるでその先に都が見え、王の姿が見えるかのように。
「なんだよ、今日はなんかあんのか?」
2人の背後から新たな声が聞こえた。
それは桂桂と同じくらいの、声変わり前の少年のものだ。
「もう、流閃ったら! この前話したでしょう?」
「今日は都で新しい王様の即位の儀があるんだよ」
「んなもん興味ねーし」
蘭玉と桂桂の言葉を聞いてもどこ吹く風、とばかりに少年―流閃―はプイッと顔をそらした。
桂々と同じくらいの年齢であるはずなのに、示す反応は面白いほど反対だった。
「こらこら流閃。そのようなことを言ってはバチが当たるぞ」
「遠甫」
聞こえてきた声に蘭玉が嬉しそうに振り向いた。
「蘭玉、どんな王かはもうすぐ分かるだろう。初勅が出ればな」
「初勅って、王様が直々に出すおふれのことよね」
言葉と共に蘭玉は老人―遠甫―の元へと歩いていった。
その後ろに桂桂は素直について行き、流閃も面倒臭そうに後を追った。
「ああ。初勅を聞けばその王がどのような人物か知れるものだ」
「ふぅん」
蘭玉と桂桂は素直に相づちを打ったが、少し後ろに立つ流閃は興味なさそうにぼけーとしていた。
基本的に小難しい話は苦手な流閃にはよくある態度である。
「さ、街へ入れ。大分少なくなったが、まだ妖魔は彷徨いておるぞ」
「「はい」」
「そんなもん俺がぶっ倒して――」
「ほら、流閃も行くわよ!」
「うわ! く、この、離せ〜〜!!」
この乱暴女めぇー!! なんですって!? ほら、2人とも早く行こうよ
暴れる流閃を引きずりながら、蘭玉は足早に街へ進んでいった。
流閃のわめき声、蘭玉の怒声、桂桂の明るい声を背後に、遠甫は遠方を見つめる。
その姿は先ほど都へ心を寄せていた蘭玉と桂々と同じもので、恐らくその目に映しているもの同じだろう。
遠甫はすっと拱手し、しばらくその場を動かなかった。
道端に眠る運命の欠片
一人の少年とその姉たる少女は新たな王に期待を抱き
一人の少年は何事も感じずただ己の願望を想い
彼らを慈しむ老人は瞳に暖かな光を宿して
今はまだ、遠き地の雲海上にて緋色の王が戦いを続けている時。
緋翔の異常な愛を一身に受けるオリキャラ、流閃くんの登場です。
今後彼には微妙に活躍してもらう予定です。ウフフ(壊)
あ、設定?ぽいものが気になる人は日記をどうぞ(11/17)
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