部屋に向かうと、延主従がのんびりと陽子と楽俊を待っていた。
延王と楽俊が軽い言葉の応酬を終わらせると、延王はさっそく延麒に慶国の情勢を話させた。
陽子はその内容を聞き、やはりその時の勢いで慶に乗り込まなくて良かった、と安堵した。
(苦しむ民のことを思い早く玉座に着きたいと思ったのと、それも面白そうだな、と思ったせいだったのだが)
陽子があまり会話に口を挟まずにいると、楽俊と延麒が問答をして次々に必要な情報を明らかにしてくれていた。
そして、状況説明が一段落したのを見計らい、延王が陽子を見つめて師のような表情でこれからのことを話す。

「陽子、そなたが即位するには、まず景麒を取り戻す必要がある」

「!? 待ってください! 私は景王になるためにここに来たんじゃないんです!」

その言葉に、延王と延麒は少し驚いた表情をした。
楽俊は『もしかして……!』と若干違った意味の驚いた顔をしている。

「私がここに来たのは――」





景麒を一発殴るためです!!





「今思い出しても腹が立つあの仏頂面に勝手に失望したような顔! 反論を許さずここまで連れて来たかと思えば『血臭の近くは好みません』!? そのせいで離れ離れになって勝手に捕まっているなんてなんて手がかかるんですか本当一発殴らないと納まりません!!」

「……」
「……」
「……やっぱ、そうなるんだな……」

楽俊だけは予想がついていたかのように遠〜くを見つめている。
しかし延主従は近年まれに見るポカンとした顔だった(レアだ)

「延王、延麒、お願いがあります」

景麒への怒りを軽く発散させた陽子は、その場の空気を全く無視していきなり本題に突入させた。
急いで真面目な顔を作った延王と延麒は表情は真剣だが、ちょっとまだ驚きが納まりきれていないようだ(たぶん、これは陽子だから分かったことだ)

「私は、景麒を助けたい。そのためにお力をお貸し下さい」

陽子は真剣な表情、決意に満ちた瞳で延主従を見つめた。

景麒、私の半身。
今はまだ慣れぬ分かたれた我が身よ。
貴方を救うために私はまたこの道を辿る。





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