とろとろと自身を包む暖かい睡魔に身を任せ、私はゆっくりと二度と目覚めぬ眠りについた
……ハズだった。
ぱちり
「……は?」
ちょっと待って私死んだんじゃないのなんで目が開くのていうかいつの間にか私立ち上がってるんですけどうそーこれ夢遊病?いつの間にそんな面白い病気にっていうか健康こそが取り柄の私がそんなものになるはずないしそもそも仙人が夢遊病ってちょっと笑えるというかなんていうか神様仏様天帝様私何かしましたかこれはどういうことですか目の前の光景、否定してもいい?
とりあえず目の前に跪いている男の表情が気にくわないので、一発蹴り飛ばした。
(そもそもコイツは“男”というより“雄”だけど)
(クッ……蹴った足が痛いムカツク!)
目覚めるはずのない私の目覚めた世界
二度と目にすることがないと思った世界の、二度と訪れることがないと諦めた場所で目が覚めた。
並ぶ机、背後の黒板、棚の上の花瓶、隅で息を潜めてこちらを見ている少女たち。
懐古に涙を流そうとする己を、必死に必死に自制した。
目の前の痛みに唸る男とジンジンと痛む自身の足が、『これは夢ではない』と己に突きつけた。
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