さて、登場の機会を逃がしていた色男は、次のシーン(?)での登場と相成った。


キィィィイイイィイィイィクルゥゥアァァア


再び響いた妖魔の鳴き声に、陽子は体勢を立て直す。
しかしその数は先ほどと比べ物にならぬほど多く、一人では対処しきれない数だった。

「ック!!」

「――大丈夫か!?」

陽子が苦悶の表情を浮かべ、低く唸った時、さっそうと人影が登場した。
水浅葱色の着物を上から纏い、桃色のリボンで髪をゆるく結った偉丈夫であった。
走り寄って来た勢いのまま、何匹か長右を切り捨てた。

「まるでお前らを狙っているようだな」

襲い掛かってくる妖魔を次々に切り捨てながら男は語った。
陽子も同じく隣で妖魔を切りながら、辺りを見渡していた。

「妖魔は、群れて襲うことはありえない。これは、使令が操っているのだ! 使令を探せ!!」

「ここは頼んだ!!」

男の言葉が終わると同時に、陽子は駆け出した。
長右を踏み台にして飛び上がるとそのまま壁を駆け上がり、勢いをつけて使令と思われる灰色の長右に切りかかった。
断末魔の叫びが辺りに満ちると共に、襲ってきていた妖魔たちは散り散りになっていなくなった。

使令を倒した陽子は、楽俊と男の立つ場所に戻った。
そしてまずは男に向かって礼を言った(この人が誰で、何故ここにいるのかも分かっているけど)
男は何匹もの妖魔を切り倒したのにもかかわらず、それを感じさせない様子でゆったりとその場に立っている。

「助かりました。ありがとうございます」

「いや、無事で何よりだ。それより迎えが来なかったか?」

「え……じゃあ、貴方が延麒!?」

楽俊の驚きの目が男に向けられた。
麒麟が殺生を行うわけがないのだが、楽俊は相当この事態に混乱しているようだ。

「いや、遅かったのでな。延麒は迎えにやらせた」

「では、貴方は……?」(いやー分かっててコレに乗るってなんだかなぁ)

「俺は小松尚隆。胎果で、称号で言うなら延王だ。雁州国王、延」

男は―延王は―泰然とした立ち姿、威厳に満ちた声で己を語った。





再び出会いの瞬間を


「――っぷふすん」

「? どうしたんだ、陽子?」

「ん? どうかしたか?」

「い、いえ! 延王自ら出迎えてくださるなんて、とても嬉しいです」

いやー延王とは長い付き合いで表も裏も酸いも辛いも知り尽くした仲だったので、今さら格好つけた自己紹介なんて笑いのタネ以外のなにものでもありません爆笑を堪えただけでも凄いぞ自分!(でも堪えきれずに空気の漏れるような音が出てるけど)

……いつか水申に愚痴ろうっと!

こうして嫌がる水申に愚痴をこぼしまくり、いつしか悪友に成り果てる一人と一匹なのである。





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