「あの、助けてくれたのは貴方ですか?」

「あ、ああ。おいらは楽俊」

「私は陽子と言います」

目覚めてすぐ陽子はヨッシャー!!と内心大絶叫した。
自分は外で行き倒れて(という設定で寝転んで)いたのに、いつの間にか粗末な家屋の室内に運び込まれている。
しかし陽子にとってはこの場所がどんな場所にも勝る宮城のように感じられた。
まさにこれは待ちに待った楽俊との出会いのイベントだった。
(やったぜひゃっほーい☆彡)



世界に(天帝に?)宣戦布告してからすぐ、陽子は楽俊の住む庵の近くに向かった。
いくら『好き勝手するからなぁぁああ!!』と宣言していたとしても、慶に帰るのが遅くなればなるほど、民に犠牲が出ることは分かっていた。
しかし真っ直ぐ慶に帰ったとして、王として遇されるかは疑問だった。
最悪の場合、陽子が偽王だと言われ、処刑される危険性もあるだろう。
なので、やはり前回と同じく延王に助成して頂き、玉座を取り戻すのが良いだろうと考えた。
その際、楽俊と出会うことも外せない。
彼無しでは今の自分はありえないのだから、この世界の彼にも恩返しがしたいと思って何が悪い。
(ていうか自分が会いたいだけだけど)
不思議と、以前の世界と今の世界では、大きな差異は生まれていないだろうと確信していた。
そして楽俊が通りそうな道端で(しかもちょうど雨も降っていた)倒れこんだフリをして寝転んだというわけである。
冗祐と太郎には何があっても何が起きても!手を出すなと厳命しておいた。
でもここまで強行軍だったのも事実だから、身体は傷だらけだし空腹だし体力も低下していた。
つまり陽子は気力で意識を保っていたが、倒れたフリをして寝転んだように見せかけて、実は本当に行き倒れていたのであった。
結局はこうなる運命だったのかもしれない。



前回と違い、陽子は初っ端から楽俊に超好意的だった。
むしろ私の命の恩人…!とまで深い恩義を感じており、楽俊も微妙に戸惑うほどだ。
また、この時あったはずの巧の役人の楽俊の家訪問もなかった。
捕まってもいない人物の似顔絵は描きようがないし、陽子の異常な行動速度のせいで巧王の対処は完全に後手に回っていた。
陽子は最初の宣言で強大な王気を表に出した以来は、完璧に気配を消して行動した。
それは陽子の動きを監視をしていた鸚鵡をすら引き剥がし、巧王は陽子を見失ったのだった。



「それでは、本当にお世話になりました」

「じゃ、母ちゃん。行ってくらぁ」





変わらぬ友の懐かしさに心で涙する


「これからよろしくね、楽俊」

「こっちこそよろしくな、陽子」

こうして延への二人旅(+2)が始まった。





どんなに陽子が違う道を辿ったとしても、彼との出会いだけは必然だと信じています。
というかうちの楽天陽子サンは図らずも前回と同じように行き倒れてます。
「これも計画の内」と思っているのは本人だけで、影の中の仲間たちはハラハラしっぱなしです。





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