そうして忠誠心をエネルギーに走り出したお供一同であったが。

調査の困難さは筆舌に尽くしがたいほどだった。

班渠は思った『マジ意味分かんないですけどこの城ー!!(怒声)』
太郎は思った『クッソこの俺様が手こずるなんてアリエネー!!(叫声)』
火維は思った『お主なかなかヤルナしかしこっちも負けてはおられぬぞ!!(歓声)』

この三種を良い感じに変化させつつ、数十回ローテーションさせれば彼らの心境がよく伝わるのではないかと思われる。

ちなみに雀胡との交代は無かった。
なぜなら、お供一同の中で密かに最強を誇るのが雀胡だからだ。
遊び半分で施された主の修行で脅威の成長を遂げた雀胡は、小さな身体に似合わず時折饕餮と酒を飲み交わす仲だ(比喩表現です)
それに雀胡は元々探索には向かない。
ていうか強くなった癖に相変わらず言葉は『ジャッコ』オンリー。
全力で安心して主を任せながら調査に赴けるというものだ。
(そして我らがやらねばという背水の陣でもある)

さらには水申との交代も無い。
もともと鞘の彼に探索をしろというのが無理な話なのだが。
なぜなら、現在彼は己の身体を小さなスティックに変換中だからである。
つまりぶっちゃけた話、魔法の杖に変化中だった。

ある老人とある少女のノリと勢いと類い希なる才能の共同作業により、王気変換システム『おうおう凄いぞ王気魔力化ビックリピアス』の作成に成功していた。
ネーミングは最悪だがその効果は名前の通りおうおう凄い。
溢れんばかりの陽子の王気が全て魔力となるのだ。
きっと頑張れば3秒で『名前を言っちゃいけないあの人』も、『名前を言うのが可哀想なあの人』になるだろう。
(そんなことしないが)
しかしそのおうおう凄すぎる(しつこい)発明のせいで、陽子の使える杖はこの世に存在しなくなった。
もしかしたら、里木か路木か捨身木の一枝と、半身の麒麟の鬣とか涙とか汗とか睫毛とか死ぬ気で血とかがあれば杖が作れたかもしれない。
しかし残念ながらこの地には無いし、いないのである。
頑張ればうちに帰れる陽子だったが、せっかく来たワンダーランドで何もせずに帰るのは【称号:悪戯王】を持つ者の沽券に関わる。

そんなワケで、心の底から信頼を寄せるお国の宝重に頑張ってもらった。

そうして刀と鞘のダブルアタックのおかげで、ツヤツヤと光り輝く陽子だけの美しい杖が完成した。
呼べば飛んで戻ってくる安心機能付きです。
しかも叫べば刀に戻り、唱えればまた杖になり、気合いで水申だけ具現化することも可能。
知らずウチに着々と陽子の身の回りには脅威の一品が増えていく。

とりあえず水申は新しい身体に満足していた。
だって長い間同じ鞘というのは、長年同じ服を着続けることくらい面白くない(らしい)
己の光輝くツヤツヤ感や、すっと指通りの良い触り心地、普通の杖には見られない美しい流線フォルムは彼の天の邪鬼であっても存分に満たした。
ちなみに上記の褒め言葉は全て陽子嬢が水申に向けて放った言葉である。
結局、水申も陽子ラブだった。





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『あ、兄貴……』

『火維! お主、その血はいったいどうしたのだ!!』

『火維殿!? 大丈夫ですか!?』

『あ、アンタ……いや、班渠……オレ、いままでワガママばっかで、ゴメン。ホントはオレ、班渠のことスゴイって思ってた。でも、でも、オレってバカだから……。兄貴も、いつも、いつも怒らせてばっかで、ごめんな……』

『何を、何を言っているのですか火維殿!!』

『おい、火維!? こ、小僧目を開けろ!! 駄目だ、寝るな!!』

『なぁ、かーさまにちゃんと言ってくれよな。オレ、ここのラスボス、ぶっ倒してきたって……』

『ひ、い?』

『ひ、火維、どの……』

火維は小さな身体をくたりと横たえると、そのままゆっくりと目を瞑り動かなくなった。


『『火維ー!!!!』』


ホグワーツの中心(の影の中)で、班渠と太郎は絶叫を上げた。










火維はスピースピーと寝息をたて鼻提灯まで揺らしていたのだが、彼らの目には映ってなかった。
お供一行調査部隊にはかなりの疲労が溜まっているようだった。










   


陽子の魔力&杖はこういう理由でした。老人と少女の才能の無駄遣いですね!笑
調査隊が調査している間、陽子は色々共同発明したり修練したりしています。
しっかり互いのすべきことを分担してますよ〜。

そして火維の言うラスボスとは……?笑