彼らの目の前には荒れ果てた大地が広がっていた。
そばには木でできた素朴な小屋があり、その横には小さな赤いポストがあるので、人が住める環境であることは分かる。
(そしてその傍にある茶色い箱?のような物は一体何なんだ?)
小屋とは反対側には大きめの建物が建っており、その造りからして動物を飼育する場所のようだ。
視線を延ばしていけば立派な木と小さな池、小さな小屋に水車小屋まで見える。
いきなり目の前に広がった光景に、その場に立つ2人は言葉もなくただ眺めることしか出来なかった。
立ちつくす2人の傍に、新たな人影が現れた。
しかし驚きに染まる2人はそれに気づかない。
『でも、そんなの関係ネェー!(古)』とばかりに現れた人影はフッと2人の横に立つと朗々と話し出した。
「どうだね、キミたちのおじいさんが残した牧場だよ」
「「!!!!!!」」
ガバッ!
いきなり聞こえてきた声に、2人は勢いよく声の方に顔を向けた。
そこに立っていたのは……
「……(人……?)」
「……(鼻が……丸い……)」
「しばらくほったらかしだったんでかなり荒れているが……」
失礼なことを考える2人の様子を超スルーして、2人が人かどうか判断しかねる人っぽい人は話し続けている。
(ナレーションもかなり失礼☆)
しかし思わせぶりに言葉を切るとおもむろに沈黙した。
「……」
「……」
「…………」
沈黙が辺りを包んだ。
状況が掴めない2人はその人が何か言い出すのを期待していたが、一向に話し出そうとせずこちらをにこにこと見つめている。
有用性があるのかいまいち判断し辛い可愛らしい赤いシルクハットを頭にのせ、その色と合わせたスーツ?のような服を着ている。
首もとには黄緑色の蝶ネクタイをつけ、中から見えるベストは青緑色をしているという、中々派手な出で立ちだ。
しかもふっさふさのカイゼル髭はふんわりとカールし、それに合わせたかのように髪も二つに分かれてくるんとカールしている。
しかし鼻は(某正義のパンのように)丸く、つぶらな瞳と合わさってどうも老人という雰囲気がしない。
言うなれば、小さくて幼い老人(どんなだ!)というところか。
2人が黙々と目の前の人物(人と認めた)の観察をしていると、彼がまた話し出した。
「ああ、挨拶がまだだったね。『ミネラルタウン』へようこそ!わたしが町長のトーマスです」
「あ、ご丁寧にどうも」
「……」
1人はそつなく挨拶を返すが、もう1人は無言で見つめるのみ。
恐らくまだ現実を受け入れていないので、思考回路が回っていない。
「そういえば、キミたちは何という名前だったかね?」
「ああ、俺はティルです」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……。こっちはルックです」
「ああ、ティルくんにルックちゃんだったか」
待てども待てども話し出さないルックに、呆れたようにティルが横から声を出した。
ルックは意外と突発変化に急対応できない性格のようだ。
そんな2人の様子を見ても笑顔に一点の曇りも浮かべないトーマスは、さらに言葉を続ける。
「キミたちの誕生日はいつなのかね?」
「10月8日ですけど……(一体何なんだ?)」
「ああ、秋の月8日か」
「(秋の月……?)」
ルックに喋らすのは諦めたティルは、トーマスの唐突な質問に律儀に答えを返す。
しかし質問の意味も、さらに答えに対してかけられた言葉の意味も全く理解できない。
さすがのティルも隠しきれない困惑の表情を浮かべた。
「どうやらキミたちはここまでの長旅で疲れているようだね。また明日にでも話を聞きに来るから、牧場の名前とその子の名前を決めておいてね」
どうやらトーマスは2人のおかしな雰囲気を感じ取っていたようだ。
暖かい笑みを浮かべると、止める暇もなく颯爽と出口?のほうに歩いていった。
その後ろ姿を見つめながら、ティルは新たな言葉にさらに苦悩した。
「(長旅? 牧場? 一体何のことなんだ??)」
いきなり視界が開けたと思ったら、こんな場所にルックと2人で立っていて。
不意に現れた人物はあまり見かけたことのない容貌をしているし、言っていることは分かるようで分からない。
「(とにかくルックをこちらに引き戻してから、2人で話し合ってみるか)」
そう思って、ティルはルックの方を振り返った。
「…………」
今までルックはティルの斜め後ろに立っており、それはトーマスが来てそちらを振り向いた時も同様で。
唐突に現れた不審人物(もしかしたら自分たちの方が不審なのかもしれないが)から目を反らすことができず。
紹介も気配で分かったから振り向く必要が無くて。
つらつらと今までの己の所行を振り返りつつ、ティルはまたしても思考が止まりかけるのを必死に自制した。
「ルックって……結構可愛いかったんだね」
「…………は?」
それまで固まっていたルックもさすがに一気に解凍して、眉根を寄せてティルを見上げた。
解凍直後にここまで表情を変えられるならいちおう安心かもしれない。
(どんな安心だよ!)
「いや、その……」
「ブフッ!!」
「え?」
視線を彷徨わせるようにして言いにくいことを口から絞り出そうとしていたティルは、いきなり聞こえてきた音に驚いてルックに視線を戻した。
そこには珍しく肩を震わせて爆笑しようとするのを堪えようとしてかなり失敗しているルックの姿が。
さすがのティルもその様子に驚く。
しかしルックは止まる様子なくお腹を押さえてくの字になりながら笑いを堪えている。
そしてプルプルと指を震わせながら、弱々しくティルの頭を指さした。
「っく、くく、は……な、なに、その、ぷふ、かっこう……ぅく」
「……?」
不思議に思ったティルはそっと己の頭に手をやった。
ルックがこれほど笑い転げる原因があると思うと、若干憂鬱そうに思いながら。
「っ、くく、ははは、は、……、……は?」
身体全体を震わせて笑い続けていたルックは、目の前にゆらゆらと揺れる薄茶色のカーテンがあることに気づいた。
怪訝に思ったルックは笑いを止めて、それを手に取った。
「「――!!!」」
「な、」
「ななな、」
「「なんだコレー!!!!!」」
2人の絶叫が草と石と木の蔓延ったそれなりの広さのある平野に響き渡った。
聞いていたのは近くの犬小屋の前でのんびり昼寝をしていた子犬一匹のみだった。
需要がないと分かっていようと、書きたくなる時ってのはあるものなんですね……。
いっそ自分だけでも楽しんでしまおうという魂胆で、たま〜にアップしていきたいです。息抜きですね。
トーマスさんの言葉はゲームに忠実に、しかし順番を変えて話が進むように工夫してみたつもりです。
読みやすくするために、平仮名の部分を漢字にしてるところがあります。
ちなみに私はガール版しか持っていないので、ボーイ版についてはプレイ動画を見ながら参考にさせて貰っています。
……こういうのって大丈夫なんでしょうか??
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