雷の国、雲隠れの里


里の長、雷影の名はなるかみユテル。
彼女は影となった歴代初めての女性である。
並み居る豪傑たちをなぎ倒し、その絶大な強さで雷影となった。
今では里の誰もが認める長として、雲隠れの里に君臨している。
彼女は常に力を求め、戦をも厭わない。
自身が力を求めるのと同じくらい、里の忍の育成にも力を入れ、諸国の里の忍術の研究にも余念がない。
どん欲に力を求め、そのためには手段を選ばない、冷酷非情な女性でもあった。


その雷影の夫は飛電。
妻とは違って温厚な性格で、妻の非情さを内心悲しく思いはじめていた。
雷影になってから段々と非情さが増しているように感じられたのだ。
己の力、里の力のためとはいえ、彼には理解しがたい事が多かった。
彼の忍のしての才能は素晴らしいものだが、彼は事務関係の仕事に就いている。
早々に自分が前線に立つことは向いていないと気づいた彼は、常に実力を押し隠していた。


その雷影夫妻の子がトール。
ユテルは家庭のことを見向きもしない人だったので、彼を生んだらすぐに保育・教育係を付けた。
以降もユテルは里長としての己を磨き続け、家事や育児は全くしなかった。
トールは母の愛は知らずとも、暖かい父と優しい教育係に囲まれ、それなりに幸せな生活を送っていた。


トールの保育・教育係になったのはアカリとヒカリ。
彼女たちは飛電の姪にあたり、トールの従姉であった。
優秀な忍で人格も優れており、実はユテルが自身の子に忍としての才能を期待して付けたことが分かる。
彼女たちはトールの教育係であることに誇りを持っており、トールの隠れた実力を薄々と感じ取っているようだ。


ここでまったく関係がないように見えるのに紹介されるのが、里の鬼才と名高いソル少年。
ソルは幼い頃から様々な忍術に通じ、体術をこなし、策略に優れていた。
しかし普段は飄々としてつかみ所が無く、いつも笑っていて何を考えているのか分からない。
恐らく里に(雷影に)忠誠を誓ってなんかいないだろうことは、聡い者には分かった。
そんな彼は、実はトールに心酔していて心から敬愛していた。
バレないようにしろ、と言われているので必死に隠しているにすぎない。


これがティルを取り巻く新たな世界である。








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